改正ストーカー規制法の適用

以前にブログ記事(改正DV防止法・改正ストーカー規制法の成立)で取り上げたストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)改正ですが,このたび,元交際相手に複数回に渡ってメールを送信した男性が逮捕されたそうです(NHKオンライン「改正ストーカー規制法を初適用 男逮捕」)。

規制されるメール送信行為は,「拒まれたにもかかわらず,連続して(略)電子メールを送信すること」(ストーカー規制法2条1項5号)というものです。

「連続して」とは,警察庁が示している行政解釈では「短時間や短期間に何度も」という意味であり,具体的には個々の事案により判断されることとなる」となっています(ストーカー行為等の規制等に関する法律等の解釈及び運用上の留意事項について(通達) 平成21年3月30日 警察庁丙生企発第31号)。

また,「電子メールの内容は問わないものとなっている」(ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律の施行について(通達) 平成25年7月3日 警察庁丙生企発第76号)とされているので,嫌がらせ等の内容でなくとも,(他の要件を満たした上で)連続してメールを送信すれば法の適用対象になる,ということになります。

今回の法改正は,長崎県や神奈川県で発生した痛ましい事件等を背景にしたものですが,同種事件が二度と起こらないよう切に願うばかりです。

なお,NHKオンラインの記事で紹介されていた「逮捕された加害者が怒りや不満を一層募らせ,事態が悪化するケースも予想されるため,逮捕された加害者の心の整理や立ち直りをカウンセラーなどが支援する仕組みも必要ではないか」とのNPO法人「ヒューマニティ」理事長早川明子氏による指摘も,こうした事案に対応する際には心に留めておくべきものだと感じました。

弁護士櫻町直樹

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