配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律は,法改正によって法律婚・事実婚の関係にある当事者以外に,「生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。)をする関係」(同法28条の2)にある場合も,相手方の暴力を原因とする保護命令(同法10条)の申立てが可能となりましたが,今年(平成26年)1月の施行から4月末までの間で既に51件,裁判所によって保護命令が発令されたそうです(例えば日経新聞H26.6.29付き記事)。
内閣府男女共同参画局ウェブサイトに掲載されている改正DV法についてのQ&Aによれば,「生活の本拠を共にする」といえるかどうかの判断は,「被害者と加害者が生活の拠り所としている主たる住居を共にする場合を意味するものとして考えています」とされています。
「生活の本拠」という文言(概念)は,他の法令においても用いられるものですが,具体的な判断にあたっては,「住民票の記載、賃貸借契約の名義、公共料金の支払名義等の資料から認定することができる場合はもとより,そのような資料が存在しない場合であっても,写真,電子メール,関係者の陳述等から生活の実態を認定し,「生活の本拠を共にする」と判断することになると思われます」(上記Q&A)との説明がされています。
客観的な資料がなくても,諦める必要はないということですね。上記日経新聞の記事には,「男からのメールに「帰ってこい」などと同居をうかがわせる内容があったため,撮影して証拠として提出」とありますが,例えば,フェイスブックなどSNSへの投稿記事も,証拠として有用性がありそうです。
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弁護士 櫻町直樹
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