フランス:小売店の保護とアマゾンと

フランスでは,国内の小売書店を保護するため,アマゾン等のオンラインショップ(書店)が割引価格で販売する書籍については,無料での配送を禁止するという法律が成立したそうです(例えば,AFPBB News H26.6.27付き記事The Huffington Post H26.6.27付き記事。これらの記事では「反アマゾン法」と呼称されています)。

他方,アマゾンはこの法律の適用を回避するため,配送料を1ユーロセント(約1.4円)に設定したそうです(AFPBB News H26.7.11付き記事)。

なんだかトンチ比べのようですが…。

ある産業・業界において,既存の事業者を保護するために参入規制をしたり,あるいは,業界内で過当な競争が生じないように料金等を統制したりということは,まま見られるところだと思いますが,そうした規制・統制によって得られる利益と,参入が阻害されたり,競争が制限されたりすることで失われる利益とがきちんと比較衡量されないと,単なる「既得権の保護」に堕してしまう危険がありますね。

さて,弁護士になるためには司法試験に合格し,司法修習を経ることが必要ですが,これは「参入規制」といえるでしょうか?(笑)

また,かつては,弁護士報酬について,日本弁護士連合会・各弁護士会が基準を定めていましたが,平成13年10月に公正取引委員会が策定・公表した「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」において,

「(1)独占禁止法上問題となる場合
資格者団体が,
[1]会則に報酬に関する基準を記載することが法定されている場合において,
・定めた報酬額について値引きを禁止し,又は,値引きを報酬額の一定割合の範囲内と定めて報酬を収受させること
・報酬基準の設定が法定されている資格者の業務以外の業務に係る報酬についてまで基準を設定すること
[2]会則に資格者の収受する報酬に関する基準を記載することが法定されていない場合において,標準額、目標額等、会員の収受する報酬について共通の目安となるような基準を設定することにより,市場における競争を実質的に制限することは,独占禁止法第8条第1号の規定に違反する。また,市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても,原則として独占禁止法第8条第4号の規定に違反する。」

という見解が示され,弁護士会が報酬基準を定めることは上記「考え方」に照らすと独禁法違反のおそれがあるということで,平成16年3月をもって基準が廃止され,以降は各弁護士が独自に報酬基準を決めています(とはいえ,多くの弁護士は廃止された報酬基準と同様の基準を用いていると思います)。

ただ,モノづくりと違って「製造原価」がある訳ではない(工夫すればサービス業でも算出できるのかもしれませんが・・・)ので,「サービスの内容・質に応じた適正な報酬」を決めるのはなかなか悩ましいことでもあるのです。

あれこれ考えていると,「請求する額の◯パーセント」という基準も,依頼者の方が得たい利益・価値の一定割合を頂戴しますよということで,まあ分かりやすくて合理的だよねと思ったり。

試行錯誤は続きそうです。

弁護士櫻町直樹

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